正解を要求する人が、AI時代で詰む理由

――AI失業の本質は「能力」ではなく「思考様式」にある

1. AI失業は「仕事が奪われる話」ではない

AI失業という言葉は、しばしば

「AIが人間の仕事を奪う」

という単純な構図で語られる。

だが実際に起きているのは、職業の消失ではなく、

思考様式の淘汰だ。

現実には、AIが導入された分野ほど

仕事は減らない むしろ需要が増える ただし「人の使われ方」が変わる

という現象が繰り返し起きている。

放射線科医、プログラマー、設計者、金融、法務。

どれも「AIで消える」と言われ続けたが、現実は違った。

では、誰が詰むのか?

2. 詰むのは「正解を要求する人」

AI時代に詰む人間には、極めて一貫した特徴がある。

「正解を教えてほしい」

「失敗しない方法はどれ?」

「結局、何が正しいんですか?」

このタイプの人間は、能力が低いわけではない。

むしろ真面目で、学習意欲もあり、善良ですらある。

だが彼らは、思考の前提がAIと衝突する。

3. 正解思考は、AIに最も奪われやすい

AIが最も得意とするのは、こういう作業だ。

正解が定義されている ルールが明示できる 過去データが大量にある 評価軸が固定されている

つまり、

「正解が欲しい仕事」

そのもの。

皮肉な話だが、

正解を強く求める人ほど、AIに置き換えられやすい。

なぜなら、その人はすでに

「判断を外部に委ねる構造」

を内面化しているからだ。

4. AI時代に残る仕事の正体

では、AI時代に人間が担う仕事は何か。

それは、

正解が存在しない 問いそのものが曖昧 状況が常に変化する 判断の責任が重い

こうした領域だ。

言い換えれば、

「正解を捨てた場所」

にしか、人間の居場所は残らない。

5. 正解を捨てるとは、投げ出すことではない

ここで誤解してはいけない。

「正解を捨てる」とは、

適当にやる 勘だけで動く 無責任になる

という意味ではない。

むしろ逆だ。

状況を分解する 前提を言語化する 選択肢を並べる トレードオフを引き受ける

その上で、

「これを選ぶと決める」

この行為そのものが、人間の価値になる。

6. AIは判断を“代行”できない

AIは優秀だ。

だが、決定的にできないことがある。

それは、

判断の引き受け

だ。

AIは「もっともらしい答え」は出せる。

だが、

その判断で誰が傷つくか 失敗した時に誰が責任を負うか 長期的に何を捨てるのか

これを引き受ける主体にはなれない。

だからAI時代に残るのは、

判断できる人間

だけだ。

7. 正解を求め続けた人間の末路

正解を要求し続けた人間は、最終的にこうなる。

AIに判断を委ねる 自分で考えなくなる 判断力が劣化する 価値提供ができなくなる

そしてある日、

「この人、いなくてもよくない?」

と言われる。

これは残酷だが、能力の問題ではない。

思考様式の問題だ。

8. RISが示す最低限の道標

RIS(認知構造化インターフェース)が扱っているのは、

高度な専門知識ではない。

本質はただ一つ。

正解がない状況を、扱える形に言語化する

そのための最低限の枠組みだ。

RISは答えを与えない。

代わりに、

何を考えるべきか 何を切り捨てるか どこで決断するか

を見えるようにする。

9. AI時代に必要なのは「放射線科医になること」

AI失業の議論で見落とされがちだが、

放射線科医が消えなかった理由は明確だ。

彼らは、

AIの出力を理解し 文脈を読み 最終判断を下す

位置に立った。

これは象徴的だ。

AIを使う側に立った人間だけが残った

という事実を示している。

10. 正解を捨てた人間だけが、強くなる

結論はシンプルだ。

正解を欲しがる人は、AIに近づくほど弱くなる 正解を捨てられる人は、AIと組むほど強くなる

AI時代に必要なのは、

賢さではない

判断を引き受ける覚悟だ

RISは、その入口にすぎない。

ここから先は、

自分で歩ける人間だけが進める。

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